嗅覚障害

嗅覚障害とは

嗅覚障害とは、においが感じられない、またはにおいがどんなにおいなのか正しく判断できなくなった状態です。周囲が強いにおいに気付いているのに、自分だけにおいが感じないなどで気付くことがあります。嗅覚障害になると、ガス漏れに気付かないなどから、日常生活においても危険な状況が伴うため注意が必要です。

原因

嗅覚障害の原因は、以下の3つに分類されます。

気導性嗅覚障害

においが嗅粘膜に届かないタイプで、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などが挙げられます。慢性副鼻腔炎のうち好酸球性副鼻腔炎の場合は、早期において嗅覚障害が現れます。

嗅神経性嗅覚障害

においの神経がダメージを受けているタイプで、感冒後嗅覚障害といって風邪をひいた後や頭部外傷などの際に現れます。

中枢性嗅覚障害

頭部の疾患が原因による嗅覚障害で、脳腫瘍・脳出血・脳挫傷・脳梗塞・アルツハイマー型認知症・パーキンソン病などが挙げられます。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患場合、主症状の認知症状や運動障害などが現れるより前に嗅覚障害を発症するとされています。そのため早く嗅覚障害と診断することで、これらの神経変性疾患の早期発見や早期治療、また病気の進行予防にも繋がります。

診断

当院では丁寧な問診と内視鏡検査・副鼻腔CTを用いて、鼻の中を確認します。必要に応じて嗅覚検査や頭部MRIを行い、的確な原因を特定していきます。

治療

ステロイド点鼻・内服

慢性副鼻腔炎による嗅覚障害の場合、ステロイド点鼻薬・内服薬が有効です。長期にわたり服薬する場合は、骨粗鬆症や副腎抑制などの副作用に注意が必要です。

内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)

慢性副鼻腔炎による嗅覚障害の場合に有効です。

漢方薬

風邪をひいた後に起こる感冒後嗅覚障害の場合に有効とされています。長期内服が必要となることもあります。数年間の内服で改善を認めた例もあります。

嗅覚刺激療法

バラ・レモン・ユーカリ・クローブの4種類の嗅素を1日2回、朝晩10秒ほど嗅ぐ治療方法です。感冒後嗅覚障害・外傷性嗅覚障害の場合に有効とされています。8ヶ月間嗅ぐ練習を行ったところ、8割弱の患者さんが嗅覚の改善を認めたという報告があります。後は普段から例えにおいがしなかったとしても、鼻呼吸を意識することがとても大事です。